金の売却を検討していると、「本人確認が必要」「200万円を超えると何かあるらしい」といった話を耳にすることがあります。ただ、これらの情報は断片的に語られることが多く、何が義務で、何が条件付きなのかが分かりにくいのも事実です。
この記事では、日本国内で金を売却する際に必要となる手続きについて、本人確認の理由、必要書類の内容、そしてよく誤解されがちな「200万円」という金額の意味を、制度の背景から丁寧に整理して解説します。初めて金を売る方でも、不安なく準備できることを目的とした内容です。
金を売るときに必要な基本的な手続き
金を買取店で売却する際の流れは、基本的にどの店舗でも大きくは変わりません。査定を受け、金額に納得すれば売却を決め、本人確認を行ったうえで代金を受け取る、というのが一般的な手続きです。
この中で必ず行われるのが、売却者の本人確認です。これは店舗独自のルールではなく、法律によって定められている手続きであり、金額や売却回数に関係なく原則として省略することはできません。
なぜ金を売ると本人確認が必要なのか
古物営業法による義務
金や貴金属の買取は、「古物営業法」の対象になります。この法律は、盗品や不正品の流通を防ぐことを目的としており、買取業者に対して以下の確認を義務付けています。
- 売却者の氏名・住所・職業の確認
- 公的な本人確認書類による本人確認
- 取引内容の記録・保存
そのため、たとえ少額の金製品であっても、本人確認なしでの買取は原則として行えません。「常連だから不要」「昔は確認されなかった」というケースがあったとしても、現在は厳格に運用されているのが実情です。
金を売るときに必要な本人確認書類
一般的に利用できる書類
本人確認には、公的機関が発行した身分証明書が必要です。多くの買取店で利用できるのは、以下のような書類です。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポート
- 住民基本台帳カード(顔写真付き)
顔写真付きの書類であれば、1点で本人確認が完了することがほとんどです。
補助書類が必要になる場合
健康保険証など、顔写真のない書類を使用する場合は、現住所を確認するために、公共料金の領収書や住民票の写しなどを求められることがあります。店舗によって取り扱いが異なるため、事前に確認しておくと安心です。
「200万円を超えると手続きが変わる」の正しい意味
金の売却について調べると、「200万円を超えると特別な手続きが必要になる」といった情報を見かけることがあります。この点は特に誤解されやすいため、正確に理解しておくことが重要です。
200万円は「業者側の報告基準」
1回の取引で200万円を超える金の買取が行われた場合、買取業者は税務署に対して「支払調書」を提出する義務があります。これは所得税法に基づく制度で、売却者が何か申告書類を提出する、という意味ではありません。
あくまで、
- 義務を負うのは買取業者
- 売却者に追加の申請義務が生じるわけではない
という点が重要です。
マイナンバーの提示が求められる理由
この支払調書には、売却者のマイナンバーを記載する必要があります。そのため、1回あたりの買取金額が200万円を超える場合は、通常の本人確認書類に加えて、以下のいずれかの提示が法律上求められます。
- マイナンバーカード
- 通知カード + 顔写真付きの本人確認書類
これは、買取店が正しく税務署へ報告するために必要な手続きであり、マイナンバーの提示自体が「課税される」「問題がある」という意味ではありません。
200万円と確定申告は別の話
ここで、もう一つ重要なポイントがあります。それは、200万円という金額と、確定申告の必要性は直接関係しないという点です。
金を売却して利益が出た場合、その利益は「譲渡所得」に該当します。購入価格よりも高く売れた場合には、売却金額の大小に関わらず、確定申告が必要になる場合があります。
- 200万円以下でも利益が出ていれば申告が必要になることがある
- 200万円を超えていても、利益が出ていなければ申告不要なケースもある
このように、
「200万円=確定申告が必要」というわけではない
という点は、特に注意しておきたいポイントです。
まとめ|金の売却は手続きの意味を理解しておくことが大切
金を売る際には、査定額だけでなく、法律に基づいた手続きが伴います。
- 金の売却では原則として本人確認が必要
- 公的な本人確認書類を事前に用意しておくとスムーズ
- 200万円という基準は、業者が税務署へ報告するためのもの
- 利益が出た場合は、金額に関わらず確定申告が必要になる可能性がある
これらを正しく理解しておけば、金の売却を必要以上に不安に感じることはありません。初めて売却を考えている方は、まずは手続きの全体像を把握し、安心して準備を進めてみてください。